12/31 紅白歌合戦「けん玉ギネス記録挑戦」参加

年の中で一番好きな日と言えば大晦日、
もっと広く言えば年末が好きだ。
どこにいても、どこに行っても何とも言えない
ゆったりとした時間、空気感…
そんな中で「今年は良かったな」と一人で思いに浸り、
大好きな人たちと年を越す幸せ。
日々のけん玉生活でも誕生日でもクリスマスでも感じられない
特別な時間が好きだ。

その大晦日にここ数年は恒例のイベントがあった。
紅白歌合戦で「けん玉ギネス記録挑戦」を
テレビの前で応援すること。
ドキドキしながら仲間たちの成功を祈っていた。

紅白と言う大舞台で堂々とけん玉をする仲間たちが羨ましく思う一方で、
私は緊張に耐えられないという思いと
何よりも失敗したときの仕事上でのリスクの大きさを考えると、
とてもではないがあの舞台には立つ気にはなれなかった。

「伊藤くん、年末は何か予定入っていますか」
…けん玉仲間のたもっちゃん(グローバルけん玉ネットワーク代表)から
少し前に一本の電話が入った。
最初は全く気付かなかったが、紅白参加のお誘いであった。
すぐには答えは出さずに一日だけ待ってもらった。

最初はどういう風に断れば格好いいかと考えた。
しかし、その一方でもしこの話を断れば
一生紅白に参加することはないだろうし、
人生のチャレンジから逃げることになってしまうのを感じた。

そして、大皿を本番で一回成功さえしてしまえば
「オリンピックと紅白に出演したけん玉師」として
ショーや講演などでネタにできると思うと、
リスクを感じつつも参加したいという気持ちが強くなっていた。
何よりも学生時代からのけん玉友だちである
たもっちゃんの誘いを断りたくはなかった。

年末は29~31日まで3日間、
リハーサルと本番でおさえられた。
100人以上のけん玉仲間が集い、
私は興奮して色々な人に声を掛けた。
そして、声を掛けていただいた。
若いけん玉プレーヤー(けん玉ワールドカップでも
活躍するガチ勢)に交ぜてもらい、
たくさん試合もした。
全部負けた。

楽しい時間だった。
来年もこの企画が続くのであれば
またぜひ参加したいと思えるほどだった。

本番。
直前まで緊張はしていなかった。
いけると思いつつもギリギリまで大皿を
何度も練習していた。
曲が始まると私の番号は8番だったので
あっという間に順番がきた。
隣の千葉さんの成功を冷静に確認し、
大皿の動作にうつった。
突然、胸の中で「ドキッ」と一瞬の強い衝撃を感じた。
玉がお皿にのったときにはこれが成功なのか失敗なのかも
分からないほどだった。
数秒後に成功したことを自覚し、
たかだか大皿の成功に喜びを感じ、
テレビにも映っていなかったので隣にいた
塚原さんと成功の喜びを分かち合った。

その後はモニター越しで
「頑張れ、頑張れ!」と
仲間たちの成功を見守り続けた。
最後の三山さんが成功し、
審査員がギネス記録達成を告げられると
自然と歓喜の声を上げていた。

興奮が冷めやらないまま
次の日に備え一人で家路についた。
もうこんなドキドキする年末は嫌だと思いながら、
紅白で提供された派手な紅白柄のマスクをまだしていることに気付き、
電車内で慌てて外したがまわりには誰もいなかった。

その一瞬だけゆったりとした時間、空気感を今年も感じた。